<イネ科植物>アルカリ性土壌でも育つ遺伝子特定 東大

イネやオオムギ、トウモロコシなどイネ科の植物が、成長に不可欠な鉄分を土壌から吸収する際に分泌する「ムギネ酸」の合成にかかわる遺伝子を、東京大大学院農学生命科学研究科の西澤直子教授(植物栄養学)らが特定した。イネはこの遺伝子の働きが弱いため、アルカリ性土壌では生育が悪いが、働きが強いオオムギの遺伝子を組み込むことで、大幅な収量増が期待できるという。27日付の米生化学会誌に掲載される。

 アルカリ性土壌は国内には少ないが、世界的に見れば中東や豪州、地中海沿岸などに多く、全陸地の25~30%を占めるという。西澤教授は「世界人口の半数が主食としている米の増産は重要だ。砂漠化防止やバイオマスエネルギーとしても役立つ」と話している。

 鉄分は葉緑素を作るのに必要で、不足すると光合成が不十分になる。土壌中には豊富でも、アルカリ性ではほとんど水に溶けないため、植物に吸収されにくい。イネ、ムギ、トウモロコシなどのイネ科植物は根からムギネ酸という物質を分泌、鉄分を水に溶けやすい形にして体内に取り込む。

 ムギネ酸は、メチオニンという物質から4段階の化学反応を経て作られる。4段階目の化学反応を促進する酵素を作る遺伝子だけ分かっていなかったが、同研究科のパキスタン人留学生、バシル・クーラムさんが中心となって特定に成功した。

 3段階目で働くオオムギの遺伝子をイネに導入し、石灰質のアルカリ性土壌で栽培したところ、収量は同じ条件で栽培した普通のイネの4倍だった=1面NEWSLINEに写真。西澤教授は「今回見つかった遺伝子を一緒に導入すれば、収量はさらに上がるだろう」と予測する。

(毎日新聞) - 10月24日

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