ゲノム診断 本格化へ


日本経済新聞(2008年11月3日)

 国内で人間のゲノム(全遺伝子情報)を高速で解読する装置を使い、病気の解明や診断につなげる研究が本格的に始まった。東北大学が不妊症と遺伝子の関係を詳しく調べるほか、理化学研究所はがんの発症メカニズムなどを探る。高速解読装置は「ギガシーケンサー」と呼ばれ、従来に比べて解読にかかる時間は短くコストも安い。病院を訪れた患者一人ひとりの遺伝情報の解読が可能になり、最適な診断や治療に生かせると期待される。

 産業技術総合研究所の平野隆主幹研究員らは、沖縄県の研究機関と組み、同県でマグロや黒麹(こうじ)菌などのゲノムを解析する。結果はデータベースとして蓄積し、品種改良や医薬応用に使えそうなものは特許取得をめざす。

▼ギガシーケンサー▼
 「10億」を意味する「ギガ」と、ゲノム(全遺伝子情報)解読装置「シーケンサー」を組み合わせた言葉。人間の遺伝情報は約30億の塩基配列で決まっており、これをシーケンサーで解読する。ギガシーケンサーは1日あたり10億塩基近い情報を読み取れる。1990年代の旧型機を使った国際計画で約10年、3,000億円以上かかった一人のゲノム解析が、2ヶ月以内、コストは1,000分の1以下ですむ。
 遺伝情報の医療応用に関する研究の活性化に伴い、ここ3,4年の間に米欧で相次ぎ製品化された。米ベンチャー企業パシフィック・バイオサイエンシズ社が1日に約2.4兆塩基を読める機種の製品化を2010年に計画するなど、今後は「テラ(1兆)シーケンサー」も登場する見通し。病気の診断などに気軽にゲノム解読ができるようになる可能性がある。

日本経済新聞2008年11月3日より

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