沖縄力拓く(オーピーバイオ、ハプロファーマ)
日本経済新聞(2008年11月7日)
豊かな自然 バイオの宝箱
10月30日朝、石垣島の沖合1km。小さな漁船から手に網やナイフを持ったダイバーが次々と海に飛び込んだ。お目当ては八重山諸島の海底に眠る海綿やホヤ、柔らかいサンゴなどの海洋生物。彼らは沖縄県浦添市に本社を置くオーピーバイオファクトリー(玉置照夫社長)の従業員だ。
同社の事業は海洋生物の収集・分析。週に1~2回、沖縄本島や石垣島周辺の海に潜り、亜熱帯地域に生息する豊富な海洋生物を採取する。ここから微生物を取って培養エキスを抽出、がんや生活習慣病などに効く物質を探す。これまで採取したエキスのサンプルはざっと7,000にのぼる。
薬や健康食品に
エキスは20社以上の大手製薬会社や健康食品会社から引っ張りだこ。10月上旬には石垣島に専用研究所を開設。沖縄の海には未知の生物が数多く存在し、「有望な薬の素材が散らばる宝箱」(金本昭彦・取締役)という。
沖縄は亜熱帯地域として独自の生物資源を持つ。この自然環境を生かすことができればバイオ産業の飛躍に弾みがつく。
成果の還元カギ
国の沖縄振興計画でも沖縄の豊かな生物資源に着目し、バイオなど最先端技術を使った新産業育成を目標に掲げている。先端分野にターゲットを集中させた国と県の助成制度を追い風に、沖縄のバイオ企業は2006年時点で04年の3倍近い23社に増えた。
課題もある。バイオ研究で有用な素材を掘り起こしても、それを県外の製薬会社などに売り渡すだけでは地域経済への波及効果は乏しい。一つの鍵となる可能性があるのが、3年前に沖縄に進出した遺伝子解析会社、ハプロファーマ(根本靖久社長)だ。うるま市にある拠点で遺伝子解析を手掛け、成果を基に個人の体質に合った健康支援サービス開発を目指す。
琉球大学などと共同で地域の2,500人のDNAを採取し、糖尿病や肥満などの原因遺伝子を探索中。今後、科学的に裏付けられたデータを基に食生活の改善や運動方法など個人に合わせた「オーダーメイド」健康法を作成し、09年度にも医療機関などに発売する。
将来はリゾートホテルと連携し、宿泊時に健康診断するサービスも視野に入れる。「バイオと観光を融合させた新たなビジネスモデルを構築したい」(根本社長)。豊かな自然や労働力、研究インフラなど沖縄独自の資源を活用し、成果を地域に還元できるかどうか。それが沖縄がバイオを経済のエンジンに育てるための突破口になる。
日本経済新聞2008年11月7日より
- by 沖縄県産業振興公社
- at 2008年11月07日
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