「海に潜む宝」探索

「海に潜む宝」探索の新聞記事


 東洋のガラパゴスと言われ、さまざまな動植物が生息する亜熱帯の島・沖縄。世界有数のサンゴ礁にはぐくまれた豊かな海には、まだ名前も付けられていない生物が多く潜んでいる。それらの生物が作り出す未知の有用な化合物を収集し、薬品や化粧品、健康食品の開発に生かそうとする企業がある。

 オーピーバイオファクトリー(那覇市、金本照彦社長)は石垣島を拠点に海綿やソフトコーラルなどを回収してエキス化。得られた化合物を蓄積している。集めた化合物を製薬会社などに提供し、特許権収入を得るビジネスに取り組む。化合物を集める作業はスクリーニング(探索)と呼ばれ、創薬の工程で最上流に位置する。目的の化合物を加工・分析し、動物実験を行い、人間を対象とした臨床実験を経る長い道のりの第一歩だ。

 金本社長はスクリーニングの作業を「泥臭い仕事」と表現する。ボンベを背負って海に潜り、生物を収集するスクリーニングの作業は探索に近い。さまざまなポイントで潜り、時には見たこともない生物に出会うこともある。生物をアルコールに漬けて化合物を抽出し、一つ一つ分析する作業は地道な職人芸だ。今後は深海探査船でさらに深い海で探索することも検討している。


 昨年は石垣島沖合の海綿から神経細胞の突起を伸ばす化合物を発見。アルツハイマー病の治療に可能性があるとして名古屋大学と研究を進めている。

 アオカビからペニシリンを発見して約80年。陸上生物を起源とする化合物の研究は進み、新しい発見が少なくなった。科学技術で化合物を強引に合成する手法も、これまで目立った実績を挙げられずにいる。時代は海洋生物に新しいリソース(資源)を求めている。

 同社の取り組みに興味を示し、スクリーニングを依頼する企業も出てきた。昨夏から、目的の化合物を探索して分析結果を提供する受託スクリーニングで化粧品メーカー数社と契約を結んでいる。資料として同社が蓄積した貴重な化合物を使うことや、新たな生物資源の探索に高度な専門知識が必要なため、受託料は数千万円から億単位と破格だ。研究が進めば契約金額が上乗せされるマイルストン契約を結ぶため、大きな発見につながれば利益も大きい。

 新薬の開発は全世界で年間十数件と極めて少ないが、金本社長は「早めに取り組みを始めればブロックバスター(年間1千億円以上を売り上げる薬品)も夢ではない」と語る。


平成22年2月24日(水) 琉球新報

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