経済の新たな課題
日本経済新聞 (2010年12月15日)
国際物流・バイオに期待
仲井真弘多沖縄県知事の2期目がスタートした。米軍普天間基地移設など基地問題だけでなく、高失業率や低い県民所得など苦境から抜け出せない沖縄経済の振興も大きな課題だ。
観光やIT(情報技術)産業に次ぐ県経済の柱をどう育成するのか。
2011年度末で期限切れの沖縄振興特別措置法に代わる新法制定をはじめ、政府との交渉力も問われる。
「いろいろと芽は出ているんです。」仲井真知事は10日の記者会見で、沖縄経済の潜在力に自身をのぞかせた。
中部空港抜く
仲井間知事の1期目の大きな功績といえるのが全日本空輸が2009年10月に那覇空港で運営開始した沖縄ハブの誘致。
24時間空港の特性を生かして夜間便や早朝便を運航し、アジアと国内、アジアとアジアを短時間で結ぶ国際物流拠点だ。
県によると、那覇空港の国際貨物取扱量は09年度が5万1839トンと福岡空港を超えた。
10年度前半は毎月1万3000トン前後と沖縄ハブ開始前の80倍以上に増加。
中部国際空港の取扱量も上回り、年度全体で成田空港、関西国際空港に次ぐ国内3位となる見込み。
全日空によると、取り扱い貨物の大半はIT部品やパネルガラスなどの工業製品。貨物の経路はアジアからアジアが25%、残りの75%は国内からアジア、アジアから国内が半々という。
県は「本土やアジア企業の配送拠点を誘致、製造業の工場誘致につなげたい」と沖縄ハブを核にした臨空型産業の集積を目指す。
県幹部は14日、県議会で「立地企業への税制優遇や規制緩和など『国際物流経済特区』を国に求める」と述べた。
観光は国際化
知事は1、2期目とも観光客年間1千万人を公約に掲げたが、この4年間の観光客数は570万~600万人と伸び悩んだ。ただ外国人は好調。
06年度の9万6800人が10年度は30万人を超えそう。沖縄に近い台湾に加え、香港や上海からの増加が目立つ。
県はアジア各都市とのチャーター便の誘致、定期便化に力を入れる。10年度のチャーター便は約400本と09年度の2倍以上になる見通し。
「パック旅行が主力の中国人観光客の単価はまだ低いが、リゾート需要につながれば県内消費額も増える。」(日銀那覇支店)
国内観光客はリーマン・ショック以降、単価を下げて人数を確保している状態。
仲井真知事は「沖縄の健康・長寿のイメージを生かす医療ツーリズム、国際会議など付加価値の高い観光産業を確立する」と意欲を示す。
IT企業急増
観光と並ぶ県経済の柱のIT産業。
沖縄に進出したIT企業は仲井真知事就任直後の07年1月には累計で126社だったが、10年10月には約230社に増えた。
県が整備した沖縄IT津梁パーク(うるま市)の09開業なども後押しした。
06年12月に59万2千人だった県全体の就業者数も、10年10月に61万5千人に増加。
ただ完全失業率は県調査で同月は8.1%と依然として高水準だ。
県が期待するのは豊富な海洋資源を活用したバイオ・健康産業の発展。県の助成を受け、沖縄周辺の海洋生物から抽出したエキスを大手製薬会社に販売するベンチャー企業も育っている。
沖縄科学技術大学院大学で海洋環境などの研究も始まっており、研究成果とのビジネス化や企業との共同研究などに期待が高まる。
民間シンクタンク、海邦総研(那覇市)の伊波貢経営企画部長は仲井真県政について
「1期目で観光、ITを着実に根付かせたことは評価できる。沖縄には健康関連産業などで独自技術を持つ企業が多い。こうした産業のブランド化を進め、県外に発信できれば沖縄経済を押し上げる原動力になる」と指摘する。
平成22年12月15日(水) 日本経済新聞
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