事業化に向けての課題及び今後の取り組み
当社は、本研究開発で得られた上記の成果を利用して、平成22年4月より沖縄県内又は県外において事業化を行う。即ち、当社が保有する豊富な遺伝資源及び独自の育種技術と、沖縄県石垣市の特有な気象条件とを組合せて開発した画期的な育種システム、当システムを開発する際生み出したイネ新品種・新素材、それにより付加価値を付けた種籾、および生産した米の4製品をビジネスの柱とし、育種システム事業(①品種の受託育成、②世代促進、③実験用種籾の生産、④育種素材の提供)及び、米穀事業(①種籾販売、②米の販売)を実施する。
育種システム事業
育種システム事業では、国・都道府県、民間企業などの育種研究機関を対象に、「品種の受託育成」、「世代促進」、「実験用種籾生産」及び、「育種素材の提供」などのサービスを提供する。「世代促進」および「実験用種籾生産」は沖縄研究所で、「品種の受託育成」、「育種素材の提供」はつくば本社と共同で対応したい。
①当社が確立した画期的な育種システムでは、新品種の育成期間を従来の方法に比べて大幅に短縮できるため、生産者・消費者の要望に応じて速やかに新品種の育成を完了することができる。これを武器に、イネ新品種の開発・イネ遺伝育種学研究を幅広く受託していきたい。また、地元沖縄の研究機関・民間企業と更に緊密な提携を図って沖縄に適した各種用途のイネ品種の開発を受託したい。
②沖縄県石垣市の特有な気象条件を生かして、日本国内外の育種機関がイネ新品種開発に必要とする世代促進のサービスを提供したい。
③支援事業により確立する種籾生産・精選体系は、日本国内外の育種機関がイネ新品種の試験栽培及び普及に必要とする実験用種籾増殖のサービスを提供する。沖縄に高度に整備した種籾センターを利用して日本国内外各地の育種機関の要望に応えたい。
④育種素材(中間母本、育成系統)を日本国内外の育種研究機関に提供する。現在までに日本型品種及びインド型品種を背景にして様々な中間母本、又は育成系統を作成したため、各種の育種目標にマッチする系統を育種素材として提供することが可能である。これを持って関連機関と共同研究開発を行いたい。
米穀事業
米穀事業では、米の生産者(JA、農業法人、各生産者)を対象に高品質種籾を販売する。または、当社育成品種の栽培権・販売権をライセンスする。さらに、食品会社、外食産業、加工米飯産業及び、一般消費者に極良食味の米を販売する。これらの事業は本社を中心として行う。
①当社は、主に極良食味として消費者に支持されているコシヒカリをベースに実用品種を開発中である。そのうち、本事業で育成した6種類のいもち病に強い短稈コシヒカリ(sdBL)は、倒れにくくいもち病に強いため、栽培しやすく、減農薬が推進でき、米生産のコスト減に繋がる。また、「出穂期を多様に変えたコシヒカリ品種シリーズ」は、栽培適応地域の拡大が期待できる。これらの品種は全てコシヒカリの同質系統であり、産地銘柄として位置付けられると期待できる。売れる米を作ることが生産者に求められている現在、これらの品種の種籾は生産者のニーズにマッチしたものである。この種籾販売の他、当社育成品種の栽培権・販売権のライセンスも併せて行う。ライセンスは種籾の品質や在庫を管理する必要がないので、今後主要な種籾販売方法として位置付けていく予定である。
②開発する上記の品種を各適地の銘柄として委託栽培を行い、生産された米を外食業者或いは店頭で販売し、米市場のシェアを拡大していく。
上記の事業化を行う上で、次に示すような課題がある。
沖縄研究所は、育種システム事業(①品種の受託育成、②世代促進、③実験用種籾の生産、④育種素材の提供)を行う上で不可欠である。本補助事業終了後も沖縄研究所を維持していく必要がある。
米穀事業の柱となる本研究で作成した新品種または品種候補を普及にもっていくまでに2-3年の年月を要する。
いもち病抵抗性短稈コシヒカリ系統(sdBL)については、これから品種登録、試験栽培、栽培適地の選定、種籾生産などの過程を経る必要がある。
出穂期改変コシヒカリ6系統については、更なる改良を加え、その後に、品種登録、試験栽培、栽培適地の選定、種籾生産などの過程を経る必要がある。
沖縄に適した品種については、探索を継続しデータを蓄積しているところであり、結論に至っていない。今後、重点的に取り組みたい。
また、事業化を行う上で次に述べるリスクがあり、克服していかなければならない。
育種システム事業を進めていく際の課題は、石垣市において品種育成を阻む台風、冬期の低温そして病虫害である。
米穀事業における課題は、沖縄県で栽培する場合に、台風あるいは病虫害によって、収量や品質が低下することである。
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- at 2008年07月23日