成果概要

バイオバンク沖縄の構築

①沖縄県居住者を対象とした健康長寿者と生活習慣病予備軍の高品位バイオバンク(バイオバン ク沖縄)を構築することができた。また、検診データと遺伝情報のデータベース化を個人情報保護のうえで実施可能な基盤が沖縄県内に構築できた。

②ゲノム研究の基盤整備、研究協力機関の設定と連携体制の構築、臨床データの収集、臨床試料の保管管理体制作りのためのノウハウを蓄積した。

③個人情報匿名化、参加者への同意説明、ゲノムデータの先端的な解析など、これまで沖縄には不在であった新たな資質の要員の新規採用や人材育成を行い、人的資源の強化につながった。

④特定健診制度下での特定保健指導に活用可能な健康指導ツールのプロトタイプの開発を行った。指導用コンテンツの実証や、臨床エビデンス収集の基盤となる予防介入に向けた、いくつかのプログラムを構築した。

⑤バイオバンクで健康指導に用いた5SNPを卓上で、簡便効率的に同時解析可能な遺伝子判定装置開発に向けた反応試薬の設計の研究も行った。ひとつの試験管内で精製から反応、検出までできるキットの雛形が完成した。今後、口腔粘膜や爪を用いて卓上で簡便に遺伝子判定が可能な装置を診断機器メーカーと開発段階に進めて、様々なサイトで利用可能な製品・サービスに育成していく。

⑥臨床データに基づく生活習慣病(主に肥満)の研究体制を、琉球大学と県内の予防医療中核拠点である沖縄県総合保健協会とで構築し、1年間で1千例以上のデータを収集し解析した。その後、さらに豊見城中央病院、ちばなクリニックなどの検診機関が参加して、協力体制を構築した。

⑦携帯電話を用いた個人データを収集するツールを開発し、今後汎用性の高いサービスを展開した。

⑧最先端の高速・高効率・低コストのSNP解析体制を沖縄研究センター内に設置し、解析技術ノウハウの蓄積、試料保管受入れ体制を構築した。全実験手技、手順に関する標準化操作手順(SOP)を整備した。情報解析技術や最先端マシンなど装備面での充実化もできた。

⑨本研究開発の成果として、沖縄県で自己完結的に、住民の検診データとバイオバンクに基づく研究開発体制と、健康サービスの評価開発ができる体制が構築できた。また、バイオバンク試料の保管管理体制も構築できた。この事により貴重な長寿沖縄の遺伝子研究資源が、県外や海外の研究機関に無秩序に流出して解析されることが防げる。

生活習慣病(糖尿病・肥満)研究のためのバイオマーカーの同定

①バイオバンクでは4つの肥満関連遺伝子と、喫煙によって脳卒中発症リスクが上昇する遺伝子について、参加者の中で希望者に対して判定結果を開示してきた。また、糖尿病予備軍の介入では、3つの糖尿病発症リスク遺伝子の判定結果も開示してきた。そして開示に際して使用する健康指導のための配布資材や、検診医が指導の参考にするための資材なども開発した。

②本研究において、EG法を用いて糖尿病治療薬への応答性や異なる個体由来の細胞に基づくデータセットを取得した。これらのうち、疾病発症や診断に関係する候補については、バイオバンクで収集したDNAを対象に、ジンチップやマスアレイによるSNPタイピングを行い、臨床変量の層別化による相関解析を実施し、臨床統計学的に有意なSNPマーカーを同定している。

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