成果概要

(1)実験設備

静物資源収集拠点及びエキス抽出,分画,微生物分離,培養設備を導入した研究所を石垣島に建設した。沖縄県全域にて収集した生物資源をOPBIO石垣ラボに集積してライブラリー構築を行った。

(2)海洋生物エキスライブラリー構築

①サンプリング
海洋生物サンプリングは資源保護とコンプライアンスに留意して,現在八重山海域,沖縄本島を中心に行っており,現在までに1117検体の海洋生物をサンプリングした。構成は約6割が海綿,2割が海藻,1割がソフトコーラル,残り1割がその他海洋生物となっている。

②海洋動植物同定
採集した海洋動植物は弊社で同定できないものは外部機関へ依頼している。海綿類については東京大学の伊勢氏(国内で唯一海綿類の同定ができる人物)に依頼した。属レベルで同定が止まる種も多いが,そういった種はエキスに活性が見られた時点で更に種同定作業に進める。ソフトコーラルは,海洋プランニングで行うか,イスラエルのBenayahu先生同定を御願いした。その他生物種についても,グループ内で同定が困難な場合は協力を依頼している先生方に同定をお願いしている。

③海洋動植物エキス化
採取した海洋生物サンプルは,一時冷凍ストックそのままメタノール抽出し,その後,酢酸エチルと水にて分配し,1種当り2検体のエキスを作製している。現在,エキス数は約1500検体となっている。作製したエキスは,一部販売用にDMSOに溶解した状態で保存し,その他は凍結乾燥後-20℃の冷凍庫に保存している。エキスは,共同研究先のアッセイ用,製薬,健康食品会社への販売に使用している。また,自社ではHPLCによるプロファイリングを行い,データベースに加えている。

また,海藻や陸上植物などの食歴が確認されている素材に関しては,サンプルを乾燥させた後,50%エタノール水溶液で温抽出を行い,抽出液を濃縮・乾固させ,エキスとしている。それらは約100検体だが,今後,さらに検体数を増やすと同時に自社及び共同研究先でもアッセイも行っていく。

(3)化合物ライブラリー構築

得られたエキスは,HPLC,UPLC/MSを用いてプロファイリングを行ってエキスの付加情報をしてデータベース化している。
琉球大学 田中先生, 海洋大学 永井先生, 産総研 新家先生との共同研究において,弊社で採集した海洋生物エキスから,既知中心であるが化合物ライブラリーを構築して頂いている。これらは, 後述する各所でのスクリーニング結果を基に分離された化合物を含み, 現在では100種類程度の化合物を集積している。これら化合物は現在も増加中であり,今後更に化合物数を増加させる。

(4)微生物資源ライブラリー構築

①海洋微生物分離
採集した海洋生物及び,海底泥,漂流物などから,糸状菌及び放線菌を中心に分離している。現在,糸状菌300株,放線菌2200株,バクテリア1000株を分離して,-80℃の冷凍庫にて凍結保存している。海洋由来放線菌については,塩を要求する株に新種が高頻度で確認され,更にそれらの株は新規の化合物を高確率で生産していることが確認された。OPBIOでは現在,塩を要求する株を中心に収集している。

②陸上微生物分離
陸域で採集した土壌,リター等から,糸状菌及び放線菌の分離を行なっている。現在まで糸状菌400株,放線菌107株を分離し,海洋微生物と同様に-80℃の冷凍庫にて凍結保存を行っている。

③酵母・乳酸菌分離
地元に伝承され効能があるとされる素材や採集した海藻,果物,野菜などから酵母,乳酸菌の分離を行なっている。現在まで酵母300株,乳酸菌300株を分離し,-80℃にて凍結保存をしている。

④微生物培養液エキス化
現在,放線菌では4200検体,糸状菌では1200検体あまりの培養液エキスがあり,それらを96穴プレートに分注し,販売や共同研究先のアッセイ用として使用している。

なお,収集した微生物は共同研究先である産総研及び製品評価技術基盤機構にてDNAシーケンス(16S,18S)を行い同定を行っている。

(5)アッセイ,スクリーニング

現在,OPBIO及び共同研究先にて20種以上のアッセイが稼動している。1次スクリーニングの結果はデータベースに反映している。
沖縄産素材(海藻やフルーツ)から分離した乳酸菌については,MRS及び沖縄産素材(フルーツジュースなど)を発酵させ,その発酵液を用いて,チロシナーゼ阻害,抗酸化活性などを自社で評価した。
その結果,チロシナーゼ阻害活性を用いたアッセイで,非常に活性の高い株が1株(K41株)見つかった。この株は,ある沖縄産フルーツから分離した株である。この株を用いて,あるフルーツを発酵させると更に活性が上昇することが判明した。他の株で,MRS発酵液で活性の高いものを用いて,上述と同じ素材を発酵させても効果はそれほど上昇しないのでK41は上述の,ある素材と相性が良い株であると考えられる。

このK41株を用いた発酵物を用いて,現在美白化粧品の材料開発を行っている。チロシナーゼ阻害活性以外にもメラノーマB16細胞を用いたアッセイでコウジ酸に匹敵する効果を示しているので有望であると考えている。現在,特許出願中である。
また,石垣産海綿から神経突起伸張活性化合物(新規化合物)が単離された。現在特許申請中であるが,この化合物が得られた海綿は石垣でもTOP5に入るほどの分布量が多い種である。今後動物実験へステップアップさせるが,その際に必要な海綿素材は地元漁師さんに採集してもらうことの他,更に量が足りない部分は増養殖も検討し,地元への経済波及にも貢献するモデルをして進めたい。その他,共同研究先から新規活性化合物分離の報告が入ってきている。

(6)伝承効能聞き取り調査

八重山地方,沖縄本島地方及び九州地方において,地元に伝承される効能があるとされる素材の聞き取り調査を行っている。
現在,文献や公開されているDBに登録されていない情報が八重山地方で63件,本島地方で37件,九州地方で47件集まっている。この情報に基づいた素材も収集して,エキス化をしている。

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