研究開発の背景・研究目的及び目標
大腸菌の350遺伝子について表現型解析を行い、有用遺伝子データベースの構築を目指す。
これまで生物シミュレーションのための網羅的な表現型データベースは存在しない。
米BioLog社のPhenotype MicroArrayTMを用いると、2,000種類の培地における育成状態を一度に解析できる。3年間で合計百万個(二千培地×五百ORF)の表現型解析を完了する目標を掲げた(下表)。研究開発に必要なリソースは奈良先端大の森教授が提供し、琉球大遺伝子実験センター長の佐藤教授が中心となり解析をサポートした。
データマインニングは、三菱スペース・ソフトウエア㈱より特許使用許諾を得て、アクシオヘリックス㈱にて実施した。
| 年 度 | 解析目標 | 開発目標 |
|---|---|---|
| 平成16年度 | ・ 2,000 培地 ×100 遺伝子の表現型解析 ・ 表現型解析に用いた環境下での野生株の DNA マイクロアレイ発現解析 |
マイニングアルゴリズム検討、設計およびプロトタイプ試作 |
| 平成17年度 | ・ 2,000 培地 ×200 遺伝子の表現型解析 ・ 表現型解析に用いた環境下での野生株の DNA マイクロアレイ発現解析 |
マイニングアルゴリズムの評価 |
| 平成18年度 (最終年度) |
・ 2,000 培地 ×200 遺伝子の表現型解析 表現型解析に用いた環境下での野生株の DNA マイクロアレイ発現解析 |
マイニングシステム・遺伝子有用性データベースの完成(本研究開発のデータ量に対応できる仕様とする) |
研究体制
(1)研究組織

(2)管理体制

(3)研究者氏名及び人員
| 氏 名 | 役 割 |
|---|---|
| シバスンタラン スハルナン | 研究本部長 |
| プラバット グナティラケ | システムエンジニア |
| スシット ペレーラ | システムエンジニア |
| 水元 清 | 研究員 |
| 向山 敦洋 | 研究員 |
| 長田 洋明 | システムエンジニア |
| 福原 和朗 | 研究員 |
| デニヤゲ ロシャン | システムエンジニア |
| 森 大介 | システムエンジニア |
(4)外部からの指導・協力者名及び指導・協力事項
| 指導者又は支援者 1 | |
|---|---|
| 所 属: | 奈良先端科学技術大学院大学・遺伝子教育研究センター |
| 氏 名: | 森 浩禎(モリ ヒロタダ) |
| 職 名: | 教授 |
| 指導又は協力を 受ける事項: |
表現型解析には大腸菌全遺伝子欠失株が、 DNA マイクロアレイ解析には大腸菌全 ORF ライブラリが必要であり、これらリソースを有する森教授の指導が不可欠である。 |
| 指導者又は支援者 2 | |
| 所 属: | 琉球大学・遺伝子実験センター ( 併 ) 、医学部地域環境医科学講座 |
| 氏 名: | 佐藤良也(サトウ ヨシヤ) |
| 職 名: | 遺伝子実験センター長・医学部教授(寄生虫学) |
| 指導又は協力を 受ける事項: |
当プロジェクト(事業)推進における、琉球大学遺伝子実験センター側からの全面的支援のため、研究バックアップのための足がかりを大学内外に構築していく。 |
| 指導者又は支援者 3 | |
| 所 属: | 琉球大学・遺伝子実験センター・遺伝子機能解析分野 |
| 氏 名: | 中島 裕美子(ナカジマ ユミコ) |
| 職 名: | 助教授 |
| 指導又は協力を 受ける事項: |
当プロジェクト(事業)における琉球大学遺伝子実験センター側の研究総括と連携を担当する。現在、遺伝子実験センター全体をまとめる主事としてハード、ソフト面での統括をしており、更に研究の専門分野である転移性因子を指標とした分子進化学を沖縄の土地に生かした観点からサポートする。 |
| 指導者又は支援者 4 | |
| 所 属: | 琉球大学・遺伝子実験センター・環境生命情報分野 |
| 氏 名: | 松井 徹(マツイ トオル) |
| 職 名: | 助教授 |
| 指導又は協力を 受ける事項: |
当プロジェクト(事業)において、沖縄県における研究拠点形成の具体的な指揮を統率するとともに、沖縄県に生息する有用微生物の有効利用の面からの推進を担当する。 |
| 指導者又は支援者 5 | |
| 所 属: | 琉球大学・遺伝子実験センター・環境生命情報分野 |
| 氏 名: | 新里 尚也(シンザト ナオヤ) |
| 職 名: | 助手 |
| 指導又は協力を 受ける事項: |
松井助教授ととも、当プロジェクト(事業)において、沖縄県における研究拠点形成のために具体的に研究を推進する。 |
成果概要
本研究は、生物シミュレーションの為の網羅的な大腸菌表現系データベースの構築及び解析手法の確立を目指し、2004 年にスタートした。大腸菌全遺伝子欠失株セット『Keio collection』を使用し、それぞれの欠失株に対して米国BIOLOG社のPhenotypeMicroarray(PM)を用いて表現系を解析、データベース化すると共に、インフォマティクス的アプローチによる解析を行うものである。
平成17年度は、主に代謝系酵素遺伝子を欠失させた変異株107 株、野生株1株の表現系を解析し、グラフクラスタリング法を用いてクラスタリング解析を行った。その結果、代謝マップ上で近傍にある遺伝子が同一クラスタに分類される、とうい興味深い傾向が見られた。平成18年度はさらに、代謝系酵素遺伝子及び機能未知遺伝子などを欠失させた42の変異株について表現型解析を行い、前年度の結果と合わせて159 株のクラスタリング解析の検証及び新たな解析手法の導出を試みた。また、すべての表現系解析の結果をデータベース化し、Webによる公開を開始した。
事業化に向けての課題及び今後の取り組み
生物シミュレーションによる大腸菌システムの再現性をより高度にするためには、本研究開発で扱った遺伝子に加え、残りの大腸菌遺伝子についてもPhenotype Microarrayによる表現型の解析が必要である。我々は、奈良先端大の森教授を中心に、コンソーシアムを設立し、研究を推進していく構想がある。
事業化に向けては、研究成果を活用して、以下の製品販売とサービス提供を行う。
1-4-1大腸菌遺伝子欠損株及び有用性データベースの販売
大腸菌のDNAマイクロアレイによる機能未知遺伝子の解析結果に加え、さまざまな環境中での組換え大腸菌の挙動を網羅的に解析する、Phenotype Microarrayによる表現型データを鑑みた有用遺伝子データベースを構築する。基本情報は無料で公開するが、欠損株と表現型データの組み合わせにより販売する方向で検討している。
1-4-2 受託解析サービスの提供
沖縄事業所にて、市場ニーズによる培地での受託解析サービスを開始する。早期には、大腸菌研究に直結した実験結果を望む大学研究室からの依頼を想定している。また、産業界では、ダイオキシン・環境ホルモン・重金属等の環境物質、抗生物質・既存医薬品、バイオセンサーおよび微生物を用いた物質生産において、市場ニーズがあると見込んでいる。
当該プロジェクト連絡窓口
アクシオヘリックス株式会社
研究開発本部 内間 利菜
E-mail: uchima@axiohelix.com
〒901-0152 沖縄県那覇市小禄1831-1
沖縄産業支援センター2F
TEL:098-858-2887 FAX:098-858-5933
