株式会社キティー

研究開発の背景・研究目的及び目標

当社の代表取締役社長である熊部潔は医学博士でもあり、医学の研究に携わっていた頃、「治療医学」から「予防医学」への変遷を予感していた。生物の生体メカニズムが持つ優れた機能を模倣する『バイオミメティックス』を食品技術に適用し「予防医学」に応用したいというアイデアを持っていた。

その一環として、骨の形成メカニズムに着目し、カルシウムが電位により付着する現象を応用して、カルシウム微粉末カプセルの開発に成功した。この技術でDHAを封入し安定化させ、幼児食などに応用されるにいたった。

現在このDHAカルシェル二品目を販売し実績を上げているが、今後更なる発展を目指すにあたり市場の多様なニーズに応える必要性がでてきた。本事業で、10品目程度のカルシェルシリーズをラインナップとして取り揃え、顧客である食品及び健康食品の加工メーカーが選択あるいは組み合わせをした商品開発を可能にしていく事を目的とする。さらに麺類・パン・焼き菓子・錠剤・顆粒剤といった最終製品への研究開発まで手掛けることによって、『バイオヘルスケアフーズ』を形成する。これにより「健康をおいしく」という当社の理念に合ったこれまでにない全く新しい健康食品分野を提案することが最終目的である。

研究体制

(1)研究組織  最終年:平成18年度

キティー研究組織


(2)管理体制

代表取締役社長 熊部 潔、研究開発統括 谷中 博之、研究開発沖縄研究所統括 中原 昌明
本補助事業業務統括 黒田 和美、経理担当:西本 仁美


(3)研究者氏名及び人員

谷中 博之、中原昌明、萩原 裕也、宮里 賢二、黒田 和美、黒﨑 晃彦、大島 直子、
篠原 大次郎、岡田 友紀、當銘敬子(アルバイト)

(4)外部からの指導・協力者名及び指導・協力事項

名城大学 薬学部 教授 丹羽 正武

 <指導・協力事項>
①分析業務に関する指導業務
②分析実験方法の検討及び実施検証業務
③研究設備の仕様に関する助言及びその運用方法に関する助言業務
④分析実験方法に関する外部からの各種情報提供業務

成果概要

初年度の平成16年に取り組んだ既存カルシェル技術によるバイオヘルスケアフードへ機能性成分を応用する予備試験で挙がってきた商品化上の課題を解決するために実施したカルシェル改良の研究、及びバイオヘルスケアーフードの改良研究を主軸に平成17年度からは、本格的に改良カルシェルによる麺類、焼き菓子、造粒米、パン等の試作及び評価を実施した。

結果、造粒米を除き、主要なバイオヘルスケアフードにおいて、想定した商品品質のレベルを確保できるに至っている。

より具体的成果は下記に記す。

(1)機能性成分である精製魚油(有効成分:DHA)、トルラ酵母(有効成分:グルタチオン)、ウコン(有効成分:クルクミン)、ヘム鉄(有効成分:鉄)、シソ油(有効成分:α-リノレン酸)、ノニ酵母エキス、セントジョーンズワート(有効成分:ヒペリシン)のカルシェル化試験において全ての機能性成分の食品パウダー化に成功した。


(2)精製魚油(有効成分:DHA)を基本保護成分として実施したカルシェル改良試験において、油状成分のパウダー化の意味では以前は油分25%までが限度であったが、本研究により最大70%含有させる事に成功した。

また、カルシウムと加工澱粉の組み合わせや炭酸カルシウムへの油分の吸着方法の工夫により、味、臭いのマスキング性能も飛躍的に向上している。


(3)精製魚油(有効成分:DHA)、トルラ酵母(有効成分:グルタチオン)、ウコン(有効成分:クルクミン)については、沖縄そばへの応用企画を想定し、具体的な規格上の機能性成分有効量を添加する形で試験試作、及び量産試作を行い、何れも商品化可能なレベルでの製造条件を確立した。


(4)特に精製魚油(有効成分:DHA)に関しては、想定される各種のバイオヘルスケアフ-ドへの応用試験、評価を行い、沖縄そば及び焼き菓子に関しては、DHAで一食100g当たり400mg添加でも美味しく無理なく摂取でき且つ、分析上100%近くDHAの残存している事を確認している。

また、パンに関しても、パン100gあたりDHA360mg添加可能で、残存率は100%(食品分析センター)まで達成した。

また同時に、上記そば及びうどん、焼き菓子、パンに関しては、各食品加工における適性もクリアーしている。保存性に関しては㈱トレンドで量産試作したクッキー(保存条件:ビニール袋で常温保管、6ヶ月)で、過酸化物価及び酸価の値から、油の酸化及び劣化はみられず、DHAは理論値の7割の残存を確認、北陸製菓試作クラッカー(アルミ袋+白い外箱で常温保管、8ヶ月)の場合、DHAの残存率100%(食品分析センター)で過酸化物価及び酸価の値からも、油の酸化及び劣化は確認されなかった。


(5)分析・動物試験においては、精製魚油(有効成分:DHA)、トルラ酵母(有効成分:グルタチオン)、ウコン(有効成分:クルクミン)の有効成分の定量分析を確立。

特に精製魚油(有効成分:DHA)については、更にDHAカルシェルパウダー、及びそのDHAカルシェル含有のバイオヘルスケアフード、それぞれでDHAの定量分析法を確立した。

また、動物試験においては、各種の製法によるDHAカルシェルパウダーをマウスに経口投与する試験において、血中へのDHAの移行が確認されたとともに、製法の差異によって、吸収パターンにそれぞれ特色のある事が判明した。

この事実は、今後カルシェルが単なる機能性成分の器としての機能に留まらず、生体内でのデリバリーの可能性を示唆するものであると理解している。


(6)事業化面での成果は、沖縄の地の利を生かし、産官学事業として実施された「総合メンタルヘルス実証実験プロジェクト(健康療養ツアー)」に当社も参加し、実際にDHAカルシェル含有のプチパンを提供している。

このプロジェクトにおいてDHAパンをメニューに取り入れてもらい、実際に使用していただく事で直接的に顧客の声を拾う事ができ、具体的な顧客のニーズを収集するに及んでいる。

またプチパンの製造については、沖縄企業のオキコパンに冷凍パン生地をパンの焼成はブルーシールの協力のもと実施している。

また、改良したDHAカルシェルパウダーについては、現在欧州の医薬品メーカーであるロンザ、米国の医薬品メーカーであるバイエルにおいてプロトタイプのサンプルを提示、評価中となっている。

事業化に向けての課題及び今後の取り組み

具体的な商品化の第一弾として、現在DHAカルシェルパウダーである「商品名:シーイット4」の量産試験を終了し、平成19年4月末発売を目標に、社内稟議の段階に至っている。

本製品は、加工食品メーカー向けに現状商品をバージョンアップしたもので、低価格で、且つ魚臭・魚味をより低減した事を特徴としている。

今後、大手の加工食品メーカーを中心に販促活動を展開していく予定であり、より具体的には、沖縄県内では㈱サン食品、ファッションキャンディー㈱、物産公社、ブルーシール、オキコパン、本土ではサントリー㈱、アサヒフードアンドヘルスケアー㈱、日本たばこ産業㈱、山崎製パン、日本製粉などへの紹介を中心に実施する。

課題としては、実際、商品を販売していく食品メーカーの商品コンセプトとDHAカルシェルパウダーをどの様に適合させていくかが成功の鍵となる。販売手法としては、顧客の商品を事前に調査し、顧客別に最終商品への具体的応用例とコンセプトを当方側から事前に準備し、プレゼンテーションしていく。

当該プロジェクト連絡窓口

〒904-2234
沖縄県うるま市州崎12-75
沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター201号室
TEL:098-982-1448 FAX:098-982-1466
黒田 和美