株式会社ビレモ沖縄

研究開発の背景・研究目的及び目標

 2004年の泡盛の製造量は、2万6千キロリットルに及び過去最高値を示しているが、同時にその副産物である蒸留粕の生産量も3万トンを越えると云われている。この泡盛蒸留粕は、これまでに肥料や飼料として部分利用されていたが、それには限度があり、コストや安定供給などの面からもまだ多くの問題が残されており、広く利用されるには至っていない。 

 近年、泡盛蒸留粕の固液分離後の圧搾液汁が、クエン酸を多く含むことから健康飲料の「泡盛もろみ酢」製品として販売されている。 しかしながら、さらなる副産物の固形分である圧搾粕の大部分は、産業廃棄物として処理されており、その有効利用法に関する研究は全く報告されていない。この泡盛蒸留圧搾粕は、高いタンパク質含量(40%)を有し、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどの有効成分がまだ多く含まれていることから、この圧搾粕をどのように有効利用するかが問われている。 この圧搾粕は、乾燥粉末として調製後も、依然として独特の臭いを.有し、そのまま家畜に給与した場合、甘藷焼酎蒸留粕と同様に臭い成分が牛乳や脂肪などに移行することも考えられ、効率的な利用の障害となっている。

 本研究は、この圧搾粕から独特の臭い成分をなるべく除去し、脱臭または低減化した「泡盛蒸留圧搾粕」の乾燥粉末製品を開発することによって部分利用に留まらず広範囲に渡って利用できる新しい食材への転換を目的として行った。

 本申請に係わる研究開発の実現化に向けての概要を簡潔に説明すると以下の通りとなる。

・「泡盛蒸留圧搾粕」から「脱臭泡盛蒸留圧搾粕」乾燥粉末製品製造のための技術確立
・「脱臭泡盛蒸留圧搾粕」粉末製品のサービスの実現に当たり栄養成分特性の解明
・「脱臭泡盛蒸留圧搾粕」を動物実験(イヌ及びラット)により動物用飼料素材への転換と同時にその機能性の解明
・「脱臭泡盛蒸留圧搾粕」から機能性ペプチド製品開発のための技術確立
初年度(平成17年度)において泡盛もろみ酢残渣である圧搾粕から発酵及び化学的処理によってほぼ完全に脱臭された圧搾粕乾燥粉末を調製し、その成分特性を解明した。その結果に基づいて、次年度(平成18年度)は、動物実験(ラット・イヌ)により飼料価値と機能特性を明らかにし、高品質ペット用飼料の開発を目標として計画を行った。

 さらに、最終年度(平成19年度)においては、前年度得られた「脱臭泡盛蒸留圧搾粕」粉末にプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)を作用させてアミノ酸及びペプチドを遊離させた「低分子化処理圧搾粕」を調製し、これにより、より高度に利用したヒト用機能性ペプチド製品の開発を目標として研究を実施した。

研究体制


(1)研究組織

株式会社 ビレモ沖縄
         玉城みのり、比嘉尋、本郷富士彌
 
(2)管理体制


(3)研究者氏名及び人員

株式会社 ビレモ沖縄
         玉城みのり, 比嘉尋, 本郷富士彌

 
(4)外部からの指導・協力者名及び指導・協力事項

 琉球大学農学部 
         砂川勝徳, 上地俊徳

成果概要

泡盛蒸留圧搾粕は、脱臭処理によりイヌ用ペットフードおよびヒト用機能性食品としての開発が可能となった。また、脱臭処理により泡盛蒸留圧搾粕の有効成分が失われない脱臭処理技術を確立した。

脱臭泡盛蒸留圧搾粕には、蛋白質および食物繊維に加え、クエン酸、必須アミノ酸、γ‐アミノ酪酸、フェルラ酸(ポリフェノール)およびカルシウムなどの機能性成分を豊富に含有していることが明らかにされた。

脱臭泡盛蒸留圧搾粕の生産量を増大するために、脱臭処理性能の高い「泡盛蒸留圧搾粕大規模脱臭処理装置」を開発し、脱臭処理能力を従前に比べ1,000倍高めることが可能となった。

脱臭泡盛蒸留圧搾粕を素材とした新規イヌ用ペットフードが成犬における給与試験で、血漿コレステロール濃度を低下させる機能性を有することが明らかにされた。

成犬を用いた長期間に渡る新規ペットフードの給与試験を実施し、栄養生理および健康状態が正常であることを確認した。

脱臭泡盛蒸留圧搾粕に蛋白質分解酵素を作用させてアミノ酸およびペプチドを遊離させた低分子処理圧搾粕の高血圧自然発症ラットにおける投与試験で、アンジオテンシン変換酵素の活性を阻害して収縮期血圧を低下させる作用を有することが明らかにされた。

泡盛蒸留圧搾粕を添加した飼料を摂取したラットは日々順調に生育し、当該群の平均増体重はいずれの群も基本食群と対照群との間にあった。

泡盛蒸留圧搾粕を給与群において用量依存的に肝臓で総脂質、総コレステロールおよびトリグリセライド、血清で総コレステロール、トリグリセライドおよびリン脂質濃度などに有意な低下が観察され、泡盛蒸留圧搾粕には脂質代謝改善効果が確認された。

圧搾粕の脂質代謝改善効果は、脱臭処理の前後で変化がないことが分かった。

ヒトにおける脱臭泡盛蒸留圧搾粕錠剤を摂取させたランダムスクリーニング試験により収縮期血圧およびヘモグロビンA1Cを低下させるなど高血圧症および糖尿病診断の指標となる値の上昇を抑制する機能性を有することが明らかにされた。

事業化に向けての課題及び今後の取り組み

イヌ用ペットフードおよび機能性食品の商品化に向けて、保存性、製造費の算出および販売価格の決定を行う。また、包装などを検討する。ペットフードの試験販売等をペットフード店の協力を得ながら行っていく。さらに、ビジネスモデルを構築していく。

当該プロジェクト連絡窓口

株式会社ビレモ沖縄
代表取締役 保良 和政
窓口担当者 保良 和政

〒901-0305 沖縄県糸満市字西崎4-6-1
Tel 098-840-3071, Fax 098-992-6509