研究開発の背景・研究目的及び目標
(1)背景:
クワンソウ《(和名アキノワスレグサ):以下クワンソウ》は、沖縄本島と離島を含む海洋性亜熱帯気候に広く自生するユリ科ワスレグサ属の多年生単子葉植物で、その自生分布域のみならず、民間療法的利用記録を見ても、食材としても、沖縄に古くから根付いている伝承野菜として、まさに沖縄固有のものと言える。
その食材の記録としては1808年には冊封使歓待(御冠船料理)の献立に登場し、1832年琉球国宮廷料理等を記した琉国食療書『御膳本草』にも記されている。
民間療法的な利用方法としては、眠れない時、マラリアで熱が出て寝付けない時、鳥目の時など、様々な言い伝えがあるが、総じてみれば葉を食し「不眠症に効く」という伝承が多数を占めていた。
しかしながら、近年になるまで「不眠症」の定義は曖昧で、その科学的根拠を解明する手段と機会が十分になかった。また、クワンソウの研究をする自治体も本格的な栽培に取り組む農家も少なかった為、作物としての知名度は低く、栽培方法の研究記録も見当たらない野草に近い認識の植物である。
一方、折しも現代社会は①高齢化社会、②社会の夜型・短眠化、③うつ病患者の増加(併せて自殺者の増加)、④生活習慣病の増加、などから今や国民の4人に1人が睡眠障害を自覚している。日本においては過去20年間で最も平均睡眠時間が短い社会となり、世界を見ても睡眠改善薬等の市場は急激に拡大していることがあった。
(2)目的
沖縄に伝わる鎮静やリラックス作用があるといわれる植物の中から、最も多く不眠時の食用伝承を持つ、沖縄伝統野菜クワンソウに着目し、その「不眠症に効く」という有効性を動物行動学、脳波測定解析、中枢神経形態観察、血液生化学分析等、及びヒトにおいても脳波測定、体動測定、ストレスチェック等のフィジカルな数値測定解析とメンタル面における満足度等の測定解析を行い、科学的に睡眠改善効果とその特性、または鎮静様に見えるようなその他の有用な特性を実証し、さらにはその有効成分の特定、単離同定までを行い、有効性と安全性と作用機序を解明し、不眠症に悩む人々に貢献すること。
(3)目標
1)本天然植物の鎮静・睡眠改善・抗不安・抗うつ様作用の検証
2)活性物質分画の分類特定(アミノ酸類・多糖類等のフラクションベース)
3)活性物質分画の「ヒト」での有効性・安全性の実証
4)原料植物及び活性物質分画の安定した大量生産体制の確立
5)商品化プロトコールの確立(品質管理・定量分析により有効性検査方法等)
6)食品製品ベースの「ヒト」での有効性・安全性の検証
